
志木織々の商品開発から誕生に至るまで
志木市は、豊かな水源と水運で栄えた商業の町であり、柳瀬川、新河岸川、荒川の三つの川が流れ、水とともに歴史を刻んできました。

江戸が栄えていた頃は、河岸場があったこともあり、江戸に大量のお酒を出荷することができ、多くの酒蔵が立ち並んでいました。
しかし、今ではその姿を目にすることはありません。
1870年からこの地で商いを始めた大坂屋本店は、創業150年を迎えるにあたり、この土地で再び四季折々に楽しめるお酒を造りたいと考えてきました。
志木への想いが織り重なって紡がれるお酒です。
『志木織々』はそうした想いから誕生しました。

志木は都心に近いにも関わらず、自然も多く、治安もよい、結果的に子育て世代には、とても住みやすい市だと思います。
一方で、「志木の名産品はなんでしょうか?」
埼玉には、深谷ネギ、草加せんべい、小江戸ビールなどの県を代表する名産品は存在しているのですが、志木には同等の知名度の名産品がない現状です。
そんな現状を打破すべく、『志木織々』をつくりました。
『志木織々』が志木の賑わいづくりへ寄与することを願っています。
背景
我々が日本酒造りを実施した背景には、いつも大坂屋本店にお酒を買いに来てくださる常連の皆さまの想いがありました。
かねてより常連の皆さまから
「志木のお酒を県外の親戚や友人に持っていきたいんだけど、何かある?」
と聞かれることが多々ありました。

また、大坂屋本店としても創業150年を迎えるにあたり
「150年にわたって支えてくれた地元志木へ恩返しができないか」
「恩返しをするにあたって自社の強みは何か」
を改めて考えていました。
ともにする酒蔵との出会い
思わぬ出会いが後に「志木織々」をうみだすことになりました。
それは飯能市に酒蔵をかまえる
「五十嵐酒造様」が造った日本酒との出会い。

自分たちが酒屋ということもあり、埼玉のいろんなお酒を目にしますが、飲んだ瞬間に「これだ」と感じ、次の日にはアポイントを取っていました。
五十嵐酒造様のお酒は、雑味がなく、スムーズで、すごく飲みやすいお酒だなと印象を受けました。
アルコール由来の辛さがなく、飲み飽きしない味わいです。
五十嵐酒造様の色々な銘柄の日本酒を飲みましたが、全てが好みの味わいだったこともあり、ぜひ五十嵐酒造さんにお願いしたいと思いました。
いざ日本酒造りへ
五十嵐酒造様は、天覧山の清澄な空気を活かして酒造りを行っています。
初代久蔵は、新潟県中頸城郡の出身で杜氏(とうじ:酒蔵における酒造りの責任者)として青梅の「澤乃井」小沢酒造につとめていましたが、独立して飯能の地で酒造りを始めました。

五十嵐酒造の銘酒『天覧山』を醸造している酒蔵は、名栗川と成木川の合流点に接して建っています。
空気は澄みわたり、きれいでやさしい奥秩父からの、伏流水を井戸から汲み上げています。
飯能の素晴らしい「緑と清流」の大自然を最大限に活かし、軽くてキレの良い銘酒『天覧山』を醸造しています。
水とともに刻んできた歴史をもう一度
日本酒は「米」と「水」と「麹」を使用しています。
絶対に「水」だけは志木の水を使いたい、と考えました。
それは志木は豊かな水源と水運で栄えた町であり、これまで先人たちが刻んできた酒造りの町の歴史をもう一度復活させたいという気持ちが一番の理由です。
五十嵐酒造様に志木の水を使用したいと相談したところ、今まで一度もそんなことをしたことがないと、明確な回答を得られませんでした。志木の水を、日本酒の仕込み水として使用する場合は、500L〜1000L必要なこと、水に鉄分が入っているかどうかを調べる必要があることを教えてもらいました。
鉄分が含まれると日本酒に向かないそうです。
また、志木の水を使用するには、志木市との調整が必要であることがわかりました。
そこで市役所に「志木の深井戸水を使わせてくれないか」とダメもとで直談判した結果、水道庁のご担当者を教えてもらい想像とは裏腹に、使用許可を頂くことに。
そして、「500L〜1000L使用することが可能か」「水に鉄分が含まれているか」を確認いただける運びとなりました。
志木市の許可がでたことを五十嵐酒造様に伝えにいったところ、
「そこまで酒造りに熱意をもってくれるなら是非挑戦してみましょう!」
とのことでプロジェクトが大きく動き出しました。
後日、水道庁から水の水質調査表を送ってもらい、五十嵐酒造さんに確認。
水質的には、日本酒がつくれる要件を満たしているとのことでした!
また、水に関しても水道庁にローリー車などで取りにくるのであればOKとのこと!
その旨を五十嵐酒造さんに相談したところ、「1トン用のタンクを持ってるので、水を直接取りにいきます」と快諾頂きました。
更にありがたいことに、五十嵐酒造さんとともに、水道庁に取りに行った際にも、『志木織々』の想いに賛同いただき、水道庁のご厚意で、志木の原水のみを採取できるように、他の市や埼玉県の水が混ざらないように、蛇口を閉めてくださいました。

とことん志木産に
「せっかくだからお米も志木産を使いましょう」
と五十嵐社長からの一言で、志木産のコシヒカリを使用することに。
農協様にも協力を仰ぎ、志木で穫れたお米を使用する運びになりました。
食用米であるコシヒカリは、酒米と違いあまり削ることができず、精米歩合が65%ぐらいが限界とのこと。
それ以上削ると割れてしまう恐れがあるそうです。
純米酒までしかつくることができません。
また、食用米の酒をつくると酸味が目立つとも言われてます。
今回、バランスがよい日本酒ができたのは、五十嵐酒造さんの熟練が成せる技だと認識しております。

こうして「水」「米」が志木産の日本酒が誕生することになりました。それが「志木織々」です。
志木にこだわった『志木織々』
口に含むと、深井戸水由来のまろやかさと、お米由来の優しい甘みを感じることができる旨口です。
また、酵母は、協会10号酵母と埼玉G酵母を使用し、華やかな味わいになりました。

普段、日本酒を飲まれない方や、ワインがお好きな方へおすすめしたい日本酒です。
※深井戸水とは一般的に、地表から30メートル以上掘削した井戸から汲み上げられる水です。
多くの地層を通過して濾過されるため、ミネラルバランスが良く、酒の味わいを深めます。